機器の使い回しや滅菌についてblog
最近、歯科医院での機器の使い回しや滅菌に関するニュースをよく見かけます。
実際に厚生労働省の調査でも半数近くの歯科医院で、患者様ごとに医療機器の交換を行っていないというデータも出たそうです。
このようなニュースは数年前にもありました。その時よりは患者様ごとに機器交換をしている医院が増えてはいますが。
このようなニュースは歯科だけではなく、医科にもあてはまります。
手術用のメスの使い回しはニュースになりましたね。
あくまで医療に携わる現場の意見ではございますが、患者様にとって安価で医療サービスを受けることのできる日本の保健制度の裏で、医療機関にしわ寄せがいっているケースがあります。
決して消毒なしで医療機器を使い回すことを肯定することはありませんが、保険診療の価格は安すぎるという意見があります。
例をあげると、歯科医院には「再診料」というシステムがあって、たった450円で簡単な処置がまかなわれます。30分の予約時間の中で歯科医師、歯科衛生士、歯科助手が3人で処置を行ったとしても、いただけるのは450円なのです。
そして次の患者様のために後片付けを行い、滅菌作業を行います。
紙コップや唾液吸引パイプ、ミラー、ピンセット、トレー、エプロン、グローブなどなど、患者様ごとに新しい物をご用意しています。 グローブに関しては同じ患者様の治療中に何回も変えることだってあります。
これらのコストは治療費の450円の半分以上を占めているのです。
3人で30分働いて200円程度になってしまいます。
これでは経費削減のため使い回しをする医院も出てきてしまうのかもしれないですね。
ドリルの先端に関しても同じです。ドリルの価格はピンキリですが高いものでは数十万したりします。それを何本もそろえるので数百万の設備投資なのです。
このドリルは使用したら洗浄して滅菌するのですが、手間もかかるし、洗浄用の設備も必要ですし、滅菌装置にいれると徐々に痛んでいきます。そして修理代はなんと一本数万円。
何度もいいますが、決して使い回しを肯定してはおりません、当院では患者様ごとに滅菌処理に細心の注意を払っており、患者様ごとに交換、滅菌を行っております。
この記事を通してお伝えしたかったことは、誰でもお金の心配をせずに医療サービスを受けられる日本の保健制度は現場の血の滲むような努力によって支えられているということです。
ニュースで歯科医院に関するネガティブなニュースをご覧になられた際に、頭の片隅に置いておいていただけると幸いでございます。